よりそい

それは恋人たちのための、





「あ、」


上質な白い皮のソファーの上、となりにできた空間を見て、イーピンは思わず声を上げた。


「ちょっと、せまい…?」


このソファーは、最近ランボにもらったものだ。もう使わなくなったからと、譲り受けたものだ。


「二人掛けって、言ってたのになぁ…。」


ひとりで座るには広いが、二人で座るには狭い。そんな微妙なスペースに、イーピンはため息を吐いた。
立ち上がり、ソファーを睨む。どうしてこんなに微妙な広さになっているのだろう。子供用なのだろうか。


「ねえ。」
「きゃっ!」


そんなことを考えていると、後ろから声がして、イーピンは思わず声を上げた。


「あ、ひ、雲雀さん。おかえりなさい。」
「うん、ただいま。」


いつの間に帰っていたのだろうか、イーピンが振り向くと、ダークスーツを身に纏った雲雀が立っていた。


「何?これ。」


雲雀がソファーを指差す。


「あ、これ、ランボにもらったんです。」


イーピンが答えると、雲雀は僅かに顔をしかめて、へぇ、と呟いた。


「でもなんだかちょっと狭くて。」
「狭い?」
「あ、これ、二人掛けなんです。」


イーピンが言うと、雲雀はああ、と納得したように呟いた。


「確かに二人では狭そうだね。」
「はい…どうしようかな。」


イーピンがうーん、と考えこむと、じっとソファーを見つめていた雲雀が、ふいにソファーに座った。そのままイーピンの腕を引っ張って、隣に座らせる。


「きゃっ!」


突然のことにびっくりしてイーピンは声を上げた。こつりと雲雀の膝と、イーピンの膝がぶつかる。


「え、あの、その、雲雀さん、」


ぴったりと隙間なくくっついた体温に、イーピンは顔を真っ赤にした。


「狭いね。」
「だから言ったじゃないですか。」
「うん。でもいいんじゃない?」
「え?」


イーピンが顔を上げて雲雀の方を見る。雲雀はくすりと笑って、


「君とこうやってくっついていられるじゃない。」


そう言ってイーピンの額にキスを落とした。