「好きです。」


呟けば困ったように笑う彼。抱きつけば眉を下げ、引き剥がそうとする彼。
全てがこの恋の終わりを告げているのに、私はそこから動けない。


(ハル。)


笑って、優しい声で私の名前を呼んで、けれどそこには、恋はない。


(ツナさん。)


好きです好きです好きです、呟けばそれは恋、胸を締め付けるような苦味と、じんわり広がる甘味、この感情の行き着く先を、私はまだ知らない。


(京子ちゃん。)


感情をぶつけて彼に困った顔をさせて、私はちっとも優しくなくて、彼のことなど考えなくて、


(ツナくん。)


好きです好きです好きです好きです。
彼の幸せを願えるようになれば、きっとそれが恋の終わり。
いつかはこれが、親友に向けるそれになる。
だからどうか、その時がくるまでまって。



愛になるまでまって