妄想捏造万々歳です。
大学生二宮くんです。
ご注意ください。





























部屋の掃除をしていたら、小学校のアルバムが出てきた。
水色のしっかりした作りのそれは、押入れの奥の方に収納されていたためか汚れも色落ちもしておらず、最後に開いた小学生のときから全然時間がたっていないような、新品みたいに見えた。
懐かしさのあまり思わず開けば、ばさばさと写真が何枚かと、成績表が落ちてきた。写真は卒業式のもので、ワイシャツにネクタイを締めてベストを着た幼い自分が、仏頂面でうつっていた。写真うつりわりーなぁ、おれ。一緒に落ちた成績表はなんとなく開くのがこわくて、とりあえず横にのけといた。後で隠しとこう。
パラパラとページをめくれば、校長先生(ハゲ)の顔に黒のマジックでボーボーの鼻毛がかいてあって思わずふき出した。誰だよおれの卒業アルバムに落書きしたやつ。だいたい見当はつくけどさぁ。


「うっわみんな若!わけぇ!」


アルバムの中のクラスメイトはこちらに向かってピースをしたり変な顔をしたり、そんななかに自分も混じってたりして、なんとも輝かしくも気恥ずかしい。おまえもうちょっといい顔で写真うつってろよ小学生の記念なんだぜとか過去の自分に突っ込んでみたりしても、厚紙にプリントされている自分は友達の頭に指で角を生やしてしたり顔なんてしている(はやったんだよこれ!)。


「すっげー、なつかしー。うわこんなやつもいたなー。」


パラパラと、集合写真やクラスごとの写真を眺めて、これ先生絶対シワとか処理してるよなあなんて突っ込みを入れていたら、ふと目にうつったオレンジ色に手を止める。修学旅行、と書かれたそのページに、子どもたちや先生にまぎれてうつる、そのひとを、見つけた。


「…『バスガイドさん』、」


数人の女子と一緒にうつっているそのひとは、色褪せなかったアルバムと同じように、まぶしい笑顔をこちらに向けていた。心臓がどきりとひとつ。心の底に残っていたらしい懐かしさ以外のなにかが、喉にせりあがってじんじんとした。